資産運用している方々の1月の話題といえば、確定申告でしょうか。
2024年の確定申告は、株式等配当金の選択肢が1つ減ってしまいました。
「住民税の申告不要」という節税制度がなくなり、「配当控除を戴くと住民税が上昇する」というセット効果が打ち消せなくなったのですね。
ではもう、配当控除は諦めたほうが良いのでしょうか?
…それは条件による、かな。
配当を申告する際の選択肢は3つ
NISA口座以外で受け取る配当金は所得税・住民税が源泉徴収されており、基本的にはこれで納税完了しています。
なので、ひとつめの選択肢は「申告不要」。ノーアクションでOKです。
しかし税の世界は奥深く、申告方法によっては税金が戻ってきたりします。
これについて、納税者は先の「申告不要」の他に、2種類の選択肢を選んでよいとされます。
申告方法 | 効果 | 注意点 |
---|---|---|
総合課税 | 配当収入を所得に加算し、 配当控除を受ける |
住民税や社会保険料が上がる |
申告分離課税 | 損失分を損益通算し、 赤字分の税金を返して貰う |
損失がなければ効果なし |
総合課税は、受け取る配当金が多ければ控除も大きくなり、翌年の住民税も上がるのが特徴です。
申告分離課税は、下記のような場合に差額分の税金が還付されます。
- A証券は売買結果が黒字だったが、B証券は赤字になった
- 配当金はそこそこ貰ったが、売買の方は赤字だった
総合課税で「社会保険料が増える」のは全員ではない
配当がある場合、よほどの大損を相殺するのなければ、税金の還付額は総合課税のほうが多くなるでしょう。
しかし、この総合課税は「課税所得を増やす」かわりに控除を受ける方法なので、所得が増えた結果として別途徴収される諸々のお金には注意が必要です。
特に、社会保険料の上がり方がえぐい! と言われ、給与所得者以外は、総合課税にするかどうかの選択に特段の慎重さが求められます。
給与所得者「以外」…って?
ここ、テストに出ますね。
厚生年金の給与所得者が天引きされる社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)は、給与の「標準報酬月額」によって決まります。
つまり、給与所得者が配当金を総合課税にして所得が増えても、翌年の保険料には影響ないのです。
社会保険料を気にせず済むことで、総合課税のハードルは少し下がりますね。
しかし、所得税は所得が多いほど税率が上がる「累進課税」です。
FIREできるほどの配当額がある場合は、その申告によって所得税のテーブルが上がってしまわないか、かならずシミュレーションを行って比較検討しましょう。
総合課税で必ず増えるのは、住民税
一方、給与所得者かそうでないかに関わらず、総合課税を選択すると必ず増える税金もあります。
それは、住民税。
2023年までは「住民税の申告不要制度」によりこの部分がチートできましたが、今年以降は住民税の増加から逃れられません。まあ、それでふるさと納税枠が増える(かも)と言えばそうなのですが…。
なので、給与所得者が配当控除を受けたい場合は、下記条件を比較検討することになるでしょう。
- 課税所得が増えることによる、住民税の上昇
- 住民税の上昇による、ふるさと納税枠の上昇
- 配当控除で得られる還付金
最適な申告方法は人それぞれ
確定申告で得られる還付額は、様々な所得や控除額の集大成です。
そして、還付だけではなく来年の保険料や住民税にも考慮が必要です。
納付額・還付額の比較は、「確定申告書作成コーナー」でのシミュレーションを。
社会保険料の増減は、市役所へ問い合わせを。
住民税額とふるさと納税限度額は、「○○市 住民税シミュレーション」のようなキーワードで検索を。
申告方法はご自身の条件を十分考慮し、ご自身で決定しましょう。
当ブログの場合はこんな感じになったので、住民税の増加を受け入れ、還付金の多いほうにしました。
所得税 | 住民税 | 社会保険料 | |
---|---|---|---|
総合課税 | 還付 約10万円 |
増加 約1万円 |
増加なし |
申告分離課税 | 還付 約1.1万円 |
(比較元) | 増加なし |