JIA(7172)は金融サービスの企業で、クオカードの優待でも知られています。
少し前ですが、株価がピョンと下がった期間があり、その理由が「ライツ・オファリング(新株予約権無償割当)による増資」に伴う将来の需給悪化懸念、というニュースが流れました。
保有銘柄だからということもあり、この機会に勉強してみました。
新株予約権はオプションの一種
市場では、現物だけではなく「売る権利」「買う権利」も取引対象となります。
新株予約権もこれと同類で、「ある価格で株式を入手できる権利」を1個とか、100個とかの数量で発行して銘柄コードを割り当て、市場で取引可能にするのですね。
この「ある価格」は株式の市場価格よりかなり安いので、権利を持っている人がそれを行使すると、割安で株式を取得したことになり、その後の株式を自由にできます。
今回、JIAは新株予約権を無償割当するので、株主はこの権利を無償で貰えることになります。
JIAの今回の行使価格は上の通り、1株あたり357円。
100株保有者には100個の新株予約権が割り当てられるので、手順に則って100株分の権利を行使すれば、現在15万円前後が必要なJIAの100株を 35,700円(+手数料)で取得できることになります。
仮に、全員がすべての権利を行使した場合、株数は倍になり株価は半分になりうる計算ですが、現株価が半分の 750円前後になったとしてもまだ割安と言えそうです。
取得してから売るも良し、そのまま保有して配当優待を戴くも良し。
そりゃ、この価格差なら売る人は売るでしょう… というわけで、JIAの「将来の需給悪化懸念」というのは根も葉もある内容でしたね。そして、その後の株価が再び上昇したのは、権利確定日である1月16日までにJIAの株主となって、新株予約権を入手しようという動きなのかもしれません。
公募増資と何が違うの?
公募増資も、新株予約権も、「増資である」点は共通しています。
ただ、公募増資は直近の株価で資金調達できるのに対し、今回の新株予約権の価格は357円。公募増資と比較した場合、希望額を調達するにはより多くの株式発行が必要で、そうなると1株価値の希薄化も避けられないように思えます。
なぜ、このような方法を取るのでしょうか?
新株予約権は、既存株主に配慮した増資方法と言われています。
- 権利を行使すれば持株数が増えて、希薄化による損失を軽減できる
- 権利を売却すれば利益が得られて、株価下落分の穴埋めになる
このような性格があるからですね。
JIAの新株予約権の行使期間・売買期間
今回、既存株主に対しては無償割当される新株予約権ですが、これは市場で売却可能です。
所定日付になれば証券コードがついて、株式と同じように普通に売買できるとありました。
つまり、JIAの現株主でなくても、市場から新株予約権を入手できるというわけです。
行使期間・売買期間は下記の通りです。
新株予約権の ⾏使期間 |
2024/1/17〜2024/3/11 |
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新株予約権の 売買可能期間 |
20241/17〜2024/3/5 |
現株主にとっては、せっかく割り当てられた権利です。
行使も売却もせずに期間を過ぎてしまうと、投資家は何も得ることができないので、1月17日になったら忘れずに証券会社にログインして割当結果を確認しましょう。
【2024.1.17 追記】割当結果の銘柄コードは「71729」でした!
銘柄名の「予」は、これが株式ではなく新株予約権であることを示しています。
無償割当なので、取得単価は0円。
357円の行使金額に対して、723円の希望価格がついていますね。
実際に取引開始されてからの初値はどうなるか不明ですが…なるほどなるほど。
現株主の方は、この権利を売らずに株式に換えるか、権利のまま売買するか、追って届く権利行使書面と株式のほうの価格を見極めて検討ですね。
(追記)その後、権利行使して株式を取得しました。
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