少し前まで、Jリートに関しては「日銀買い入れ銘柄」という評価軸をよく見かけました。
日銀は2010年からリスク資産の買い入れを始めましたが、株式に関してはETFを買い付ける一方、Jリートに関しては個別銘柄を買い付けていたため、その買付規模によっては銘柄が特定されることもあったためですね。
Jリートの大口投資主が日銀?
買付規模によって、というのは、大量保有報告書による情報公開(5%ルール)と関係があります。
誰しも、ある法人の発行済株式等総数の5%を超えて保有すると、その翌日から5日以内に「大量保有報告書」を提出しなくてはなりません。提出結果は下記から誰でも検索できるので、日銀の大量保有報告書があればその法人が「日銀買い入れ銘柄」というのは明白なわけです。
disclosure2.edinet-fsa.go.jp絞り込み検索をかけてみると、この通り…。
書類名が「大量保有報告書」と「変更報告書」の2種類ありますが、変更は保有割合の変更を示すものなので同じ書類種別にくくられています。
ここ数年間は新規の5%到達は無いようですが、2019年以降は変更を含め31件が検索されました。
まさに、ブルドーザーのような買い支え。
でも単純に、「そんなに買うの??」とは思いますね。
まさか日銀が議決権で経営介入するはずも無いですが、それはそれで歪みを感じます。
日銀買い入れ銘柄かどうかは、これからは微妙な判断材料に
自分がJリートの取得を始めた頃は、そういった情報も含めて「日銀買い入れ銘柄かどうか」というのを一応の安全指標にしていました。日銀のJリート買い入れは「格付けAA以上」「売買日数・売買額が一定以上(*)」という基準があって、その中で選定されていたからです。
そして、日銀が買ったとなると、簡単には売らないですよね。大量保有報告書に載るような大口投資主が(しかも日銀が)それを換金すると大事になってしまいます。
なんでそんな、出口の難しいものを買ったんだろう? というと、アベノミクスだとしか言いようがないのでしょうが…。
良くも悪くも、長く持てるJリート。それが日銀買い入れ銘柄のように思われました。
その買い入れも、日銀総裁が替わった後の2023年は実施が無かったようです。
下記の記事では、「もう日銀が買う必要はないだろう」という予想が紹介されています。
すでに数年前から、買い入れ額自体も低かったらしいので、日銀もそろそろ買い支えから卒業したい、ということなのでしょう。
(*) 年間の売買日数が 200日以上、年間の売買累計額が 200億円以上。
日銀買い入れ銘柄が増資するのは、良いニュースかも
日銀がJリートの出口を求めるとき、買い入れと同様に市場で売却するかどうかはわかりません。
影響を考えると、近々に売られることもないでしょう(多分…)。
しかし、投資法人にしても投資家にしても、「その日」の影響からはなるべく逃れたいと思うはずです。個人的には、下記のようなニュースは投資法人の自律力が高まる見込みがあり、良いんじゃないかなと思っています。
ただ、増資なら何でも良いかというとそんなことはないので、後は普通に増資理由やリート特有の指標を見て個別に検討することになります。
まとめると…、
そんなことを踏まえつつ、今年も様子を見ながら継続しようかな。
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