ノギンの泡沫投資日記

50代、年間配当69万…。住居費からの自由までもう少し、働きながら頑張るブログ。

今更ながらインフラファンドを比較してみた


国の時限制度を利用することで安定的な売電収入を得て、その収益を分配するのがインフラファンド。
2036年頃から徐々に転機を迎えると言われますが、投資先の選定や積み増しを考える際のの各指標にはどんな個性があるのでしょうか。

少し時間があったので、自分が知りたくて確認してみました。

発電規模の比較

2022年5月現在でインフラファンドは7法人あります。
最初に、総発電力(パネル数から計算された公開値)と物件数を確認します。

※2022年5月4日時点の情報を参考にしています。
※表示幅の都合で法人名の一部を短く省略(インフラ→「I」等)しています。

順位 コード 略名 総発電力 MW 物件数
1 9284 カナディアンSI 183.9 25
2 9281 タカラレーベンI 171.5 42
3 9286 ネクスI 155.5 9
4 9283 再生可能エネI 109.2 55
5 9287 ジャパンI 90.0 36
6 9286 東京I 46.0 11
7 9285 いちごグリーンI 29.4 15

法人全体としての発電規模は思ったよりバラツキがありました。

営業収益経常利益率の比較



次に、これらの収益力を確認します。

総収益(企業でいうところの総売上)に対する経常利益率が高いほど、収益力が高いことになります。
各ファンドの2022年5月時点から逆算して、直近2期の「営業収益経常利益率」を平均すると、利益率が高い順に下記のようになりました。

順位 コード 略名 直近2期平均値
1 9284 カナディアンSI 31.35
2 9281 タカラレーベンI 26.95
3 9287 ジャパンI 24.55
4 9286 東京I 21.50
5 9283 再生可能エネI 20.55
6 9286 ネクスI 16.80
7 9285 いちごグリーンI 16.05

発電規模の上位2法人が、営業収益経常利益率でも同様に上位を占めました。

下位1法人も同様であることをみると、全体規模の大きさはある程度利益率に関係しそうです。

しかしこの利益率、令和3年の「中小企業実態基本調査」結果の平均値が 3.25%であることを踏まえると凄い数字です。費用の大半が減価償却費という、投資法人特有のシンプルさ(?)が威力を発揮しているのでしょうか。

利益超過分配率の比較

このブログを書いてみようと思ったきっかけです。
Jリートやインフラファンドでは、物件取得後の減価償却費を留保せず、利益分配金と合わせて投資者へ戻すことがよくあります。

benzoin.hatenablog.com

その裁量は法人に任されていますが、比べてみるとやはり傾向はあるように思われました。
参考のため直近の利回りとともに並べてみます。

順位 コード 略名 1口
分配金
うち利益
超過分配金
利益超過
分配率
利回り
税引前
1 9281 タカラレーベンI 3,039 411 13.5% 6.2%
2 9284 カナディアンSI 3,750 848 22.6% 6.1%
3 9287 ジャパンI 2,953 692 23.4% 6.4%
4 9283 再生可能エネI 3,200 1,110 34.7% 6.2%
5 9285 いちごグリーンI 3,945 2,195 55.6% 5.6%
6 9286 東京I 3,036 1,704 56.1% 6.3%
6 9286 ネクスI 6,000 3,437 57.3% 6.6%

分配金利回りはどの法人も非常に高い値ですが、利益超過分配金の比率は分かれました。

ここでも、営業収益経常利益率の上位2法人が変わらず上位にいます。
これらは、利益超過分配金が少なくとも利益分配金が十分に出せる法人といえそうです。

反面、分配金利回りが高くともその半分が利益超過分配金というところは、利回り6%を出すためにギリギリまで減価償却費を返却しているのではないか…と見えてしまいます。

利益超過分配金って、長期運用時の解釈が面倒だな…。

減価償却費を返却ということは、そのぶん投資元本が減ったということなので、普通のケースでは利回りアップとか、元本回収までの期間短縮を想像します。
しかし、毎回の配当金に利益超過分配金が含まれてしまうと、本当の利回りはどうなるんだろうと感じます。面倒なので計算していませんが…。

比較の結果、気になった法人について

各指標で上位となった2法人については、今後の参考にしようと思います。
また素人考えであることを前置きしたうえで、順位にばらつきの出た下記2法人が気になりました。

  • 9287 ジャパン・インフラ投資法人
    発電規模が小ぶりだが、収益率が良い。
    物件費用が小さくすんだのでしょうか。
     
  • 9286 エネクス・インフラ投資法人
    少ない物件数で大規模に発電しているが、収益率がふるわず利益超過分配金に頼っている。減価償却期間の終了後、また、FIT制度(電力の固定価格買取制度)の終了後が気になります。

FIT制度は上場後の物件取得から20年間なので、最初の上場から20年後となる2036年以降に注意です。
また、インフラファンドの法人税が実質非課税となる期間も同じく20年とのことなので、その点もJリートと異なっています。Xデーが近づくと、扱いが神経質になりそうと感じました。

※上記のデータは、2022年5月4日時点の各社ホームページ等の情報をもとに、ブログ主が手元で計算したデータを記載しています。事前に確認を行っておりますが、見間違いやミスがあり得ますので参考のみでご覧いただき、最新の情報についてはご自身で各所よりご確認ください。