投資法人は、収益の9割以上を分配するなどの条件を満たすことを前提に、法人税を免除された法人。
このため利回りが高いことが特徴です。
分配金の中身は当然、その収益9割分だろう
…と思っていたら、そうでもないんですね。
今回初めて分配金を受け取った、東京インフラ・エネルギー投資法人からの分配金通知にはこんな説明文がついていました。
(前略)
①「利益分配金」として1口当たり1,332円
②「その他の利益超過分配金」として1口当たり1,703円
(中略)
今回の②「その他の利益超過分配金」は、全額が出資総額からの分配となり、税務上の「資本の払戻し」に該当します。(後略)
出資総額からの分配で、税務上の「資本の払戻し」…。
Jリートやインフラファンドでこの形態の分配があることは知識として知っていて、問題ない分配であるというところまで読んではいたけれど、いざこのように記載されると「えっ?」と構えてしまいますね。
「その他の利益超過分配金」は、投資元本を減らすだけのタコ足分配と違うのか。
多くの方には既知の内容ですが、自分用に振り返ってみました。
タコ足分配の「特別分配金」は元本を取り崩してゆく
一部の毎月分配型投信などで指摘されて問題となった、タコ足分配。
これは「特別分配金」と記載され、元本を減らして分配金を作ります。
たとえば、
「1口1万円を1口8,000円にします。なので2,000円を分配金として返します」
という具合です。
そのままの意味で元本が減るので、タコ足分配と言われます。
利益がなく元本が戻るだけなので課税されません。
なんでこんなことをするのかというと、利益が足りないのに高い分配金を維持せんがためなので、運用姿勢としては本末転倒と言われますね。
投資法人の「利益超過分配金」は減価償却費の一部など
投資法人のそれも、利益を超過する額を分配しており、お金の出所は出資金です。
しかしそれは「利益超過分配金」と記載され、課税額も計算されます。
Jリートもインフラファンドも、出資金を使って施設を取得し、資産に加えます。
これら施設の取得後は、減価償却費用が毎年計上されることとなります。
費用と書かれますが、実際にはどこにも支払っていません。
支払っていない金額が費用として計上される、つまり利益と同じということになります。
会計上の費用という感覚にはどうも慣れないです。
投資信託協会の規定では、この減価償却費の6割までを分配できることになっています。
こうして分配されたのが「利益超過分配金」なのですね。
利益超過分配金は、税法上、投資口の償却を伴わない出資の払い戻し(減資)として扱われ、みなし配当課税及び譲渡益課税が適用されます。
元本を返すのとは違うから課税するよ、となるようです。
お金の世界は複雑だなぁ…。
ちなみに、今回の東京インフラからの利益超過分配金は、当期減価償却費の48.9%と記載がありました。
減価償却費を分配して、その先は?
投資法人だからといって、必ず減価償却費まで分配する決まりはありません。
分配しない場合、その資金は留保されて、いずれ老朽化する施設の修繕等に使われるのでしょう。
逆に分配しすぎると、修繕したくてもできない未来が訪れそうですが…、
そうはならないと計算したうえで分配金を増やす選択になってくれているなら問題ないです。
全ての物件で減価償却が完了したら、その投資法人からの分配金は減るのかもしれません。
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