日本が超低金利の今、円建債券は魅力が乏しいと聞きます。
定期預金より良いとはいえ、その利回りが1%を超えることは少ないです。
とはいえ、色々な理由で債券を検討する場合もあるはず。
期限まで持てば元本が戻り、保有中は年利が受けられるという特徴は他にないものです。
開示を見ていると、ネット証券には出ない債券が結構あることを知りました。
そのうちのひとつが、リートの投資法人が発行する「投資法人債」というものです。
投資法人債は債券の呼び名
投資法人債は特殊な債券ではなく、国が発行すれば国債、会社が発行すれば社債、投資法人が発行すれば投資法人債、という呼び名の違いです。
2022年6月までの直近3か月間で開示された投資法人債は5件。
発行時期 | 投資法人 | 期間 | 利率 | 取扱証券会社 |
---|---|---|---|---|
2022.06 | 日本都市ファンド 投資法人 |
5年 | 0.34 | みずほ |
2022.06 | ケネディクス商業 リート投資法人 |
5年 | 0.50 | SMBC日興 |
2022.06 | 日本プロロジス リート投資法人 |
5年 | 0.30 | みずほ |
2022.06 | 森トラスト総合 リート投資法人 |
5年8か月 | 0.42 | みずほ |
2022.05 | ヒューリック リート投資法人 |
5年 | 0.33 | みずほ・ 三菱UFJモルガン・スタンレー |
発行予定や検討の開示を含めるともっと多くあります。
格付は概ね高く、利率も信頼度の高い社債と同程度ですね。
ともかく堅いと思われる
債券のリスクは、発行主体の破綻。
この破綻が、リートでは大変少ないそうです。(2008年に1件のみで、弁済は100%)
破綻するよりも、別のリートに吸収合併されることで結果的に投資主は助かるのだとか。
合併となると比率の関係で口数が目減りすることはあるかもしれないですが、弁済率が低いとか、劣後して弁済されないとかよりもマシな結果になりそうです。
投資法人の資金繰りが傾いても、不動産は引き続き管理運営されていて、家賃を生んでくれる(または、生む価値を保っている)という特有の構造が影響しているかもしれません。
(投資法人は不動産の賃貸収入で成り立ちますが、不動産の管理会社とは分離された存在です)
ネット証券から購入できない
先のリストにある通り、取扱証券会社は大手のみなんですね。
ネット専業証券だとそもそもリストに出ないので、自分も開示を見るまで「投資法人債」なるものを意識したことがありませんでした。
たぶん、この先もしばらく自分には縁がなさそうです。
売買はネット専業、債券は大手、そんな使い分けができる環境だと選択肢が広がりますね。
自らの稼ぎで償還することがない
投資法人は、利益の90%以上を分配するなどの条件を満たした法人。
つまり、稼ぎのほぼすべてを分配しており、償還原資を留保しない法人でもあります。
投資法人債を発行し、期限を迎えたら、その償還方法は新たな資金調達(融資、増資、投資法人債)とセットになる、という理解で大体合っているようです。
なので、場合によっては無限くら寿司ならぬ、無限投資法人債の可能性も…。
これは覚えておいたほうがよいと感じました。
だからリスクだというのではなく、投資法人とはそういうものだ、ということなのでしょう。
定期的に投資法人債を出す法人と、まったく出さない法人があり、そこは運営方針の違いと思われます。
感想
いかがでしたでしょうか。
円建債券、社債を検討されている方は、同列に投資法人債も検討できるかもしれませんね。
しかし、過去発行されてきた債券と比べると、今は利率の低さが際立ちます。
周辺の状況を思うに、金利の上昇は想定でもあり、不安でもあり…。
この先の金利動向が気になるところです。