IPO投資といえば、そのイメージは「初値売り」。
新規上場銘柄の株式を上場前に購入し、上場時に資金集中の買いが出ることを期待して、初値がついた瞬間に「成行売り」で利確(または損確)する投資法のことです。
と、思っていたら、証券会社からこんなお知らせが届いていました。
寄付から引けまでの成行売買が禁止…。
これは、IPO投資の通説が変わるということでしょうか?
IPOの抽選には一度として当たったことがないですが、気になることは気になりますね。
規制の背景は、日本証券業協会の報告書
今回の規制について、JPXのページにはこんなふうに書かれています。
今回の見直しは、日本証券業協会が2022年2月28日に公表した「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」報告書における指摘を踏まえ、需給が不安定な状況における株価のボラティリティの過度な増幅を抑えることを目的とするものです。
報告書が「公開価格と初値の乖離」を問題にしたという記事は、なんとなく記憶にありました。
新規上場の公開価格は、主幹事証券会社が主導して決めます。
売り出し株数は決まっているので、そこに投資金が集中すると初値が高くなる理屈です。
(従って、不人気の場合は公開価格を下回る結果にもなります)
とはいえ、公開価格よりもあまり高すぎる初値というのは、確かに違和感があります。
公開価格で資金を得る企業側からすると、損した気分になるでしょうね。
「うちの企業価値は、本当はもっと高かったのでは…」と言いたくなるかもしれません。
そのような乖離が「歪み」と捉えられた結果が今回の規制につながったようです。
成行禁止でも、実質的な成行注文は普通に可能
では、成行注文が禁止されれば、「ボラティリティの過度な増幅」が穏やかになり、初値が今よりも公開価格に近づくのでしょうか。
それはどうかなぁ…。
何のことはない、公開価格より十分低い売り指値を出せば成行売りになるし、今より高い買い指値を出せば成行買いになるので、禁止と言うほどの禁止ではないですね。
指値の一手間が入ることで、衝動的な注文やプログラムの注文が少しは変わるのかな。
適当に買いたい側としては、高い指値に抵抗感が生まれて場中の上昇が穏やかになる、というのはあるかもです。
IPO投資という観点では、実質的な初値売りは問題なく続けられるでしょう。
まあ、今後もIPOには当たらないでしょうけど。
にほんブログ村