「一丁整理でもするか」
と、戸棚の一つを総ざらえしていると、突然意外なものが出てきてはっとすることがあります。
飼い猫が小さかった頃のおもちゃとか、旅行に行ったときの切符とか。
「こんなものが残っていたのか。これはあの頃…」
と、思わず手にとって固まってしまう経験は誰にもあるかと思います。
物には過去をそのままとどめる力があるのでしょう。
博物館の遺物と同じ力が、個人の持ち物にも等しく備わっています。
人は時々、過去に戻ることのできる希少な生き物らしいです。
では、この過去を捨てる「断捨離」とはどういう作業かというと、
自分が思うには、現在を見るための作業となりますね。
もう着られない服があったとして、それをずっと手元に置く理由は「着られた頃の自分に戻る」です。
その服を着ていい思い出を持った、過去が戻ることを望んでいるのです。
服を手放すとき、
「自分はまだ、この服を着ていた頃の自分のままだ」
という未練を一緒に捨てます。
そうすると、次に買うのは現在の自分にぴったり合って似合う服になります。
現在を見る力が新たに備わった、と切り替えて前へ進めることでしょう。
…この関係、塩漬け株と似ていないでしょうか?
せっかくいい話だったのに株に来るか、というのは大変お粗末様でゴメンなさい 😉
塩漬け株を損切りするとき、
「この銘柄はまだ、あの頃の期待に応えてくれる力がある」
という未練を是非一緒に捨てたいものです。
株ならば、損切りで忘れるまでゆかずとも、損出しと称して買い直すのも自由ですから、断捨離よりも気持ちの敷居が低いはず。
話の流れが台無しだよ…と言わずに、ポートフォリオは時々冷静に見直すべし、ですね。