Jリート、色々理由は言われていますが今年はずっと安いですね。
価格が下がると利回りは概ね上がるので、「安いよ」「買ったよ」の声もちらほら聞こえます。
しかし、その声すら聞こえない一角があるのにお気づきでしょうか…。
構成銘柄数がわずか5つと、市場縮小が懸念されるインフラファンドです。
短期チャートは「値下げ祭り」の様相
当ブログは投信に加え、資産からの配当を重視しています。
資産全体に占めるJリート・インフラファンドの割合は 6%ほどですが、配当額に対しては25%、約4分の1が投資法人(Jリート含)からの定期収入となっていました。なんだかんだで利回りが良いわけです。
では、その価格はというと…
たとえば、下記は時価総額が最大のインフラファンド、カナディアン・ソーラー投資法人の投資口価格(2024年7月9日終値)です。
あーあーあー。
これは酷い。持てば持つほど含み損でございますよ。
インフラファンドはJリートと同様の投資法人ですが、リートには物流・住宅・ホテル等と様々な特化領域があるのに比べ、インフラファンドの方は全て太陽光発電が主力です。そのあたりの均一性も意識されてか、「売るとなったら全銘柄を売る」的な傾向になりやすいでしょうか。
全銘柄といっても、全部で5銘柄だしなぁ。
うん、確かに市場が小さい…。
ついに利回りが10%を超えるファンドも
そして、2024年7月9日時点の価格で来年の予想利回りを計算するとこの通り。
コード | 銘柄 | 1口投資額 | 税引後利回り |
---|---|---|---|
9286 | エネクスインフラ | ¥71,900 | 6.65% |
9287 | ジャパンインフラ | ¥71,900 | 6.66% |
9282 | いちごグリーンインフラ | ¥59,400 | 10.67% |
9284 | カナディアン・ソーラー | ¥91,800 | 6.55% |
9285 | 東京インフラ | ¥73,100 | 6.57% |
わー凄い(棒)
長期保有するでもなく、単年でポイと買って利回り(税引後)10%って、まあまあチートではないでしょうか。先々懸念があるとはいえ、ここまで買われないなんてなぁ。
これ、どういうことなのでしょうね。
太陽光発電は元々、下記が懸念事項とされてきました。
- FIT(固定価格買い取り制度)の価格低下
- 新規開発の適地が枯渇
- 発電所同士の価格競争に負ける
- インフレ下では、FITの長期固定価格が逆に不利となる
しかしそれらは、「元々わかっていたこと」です。
だからきっと、今の売り傾向というのは、元々の懸念事項がどんどん前倒しで消化されて、もっと魅力的な資産へとお金が移動する現象なのでしょう。
「配当込み」の指数は少しだけ違う景色
下図は、JPXの「レポート・ガイドブック」ページに掲載された「月刊インフラファンドレポート」2024年5月版の一部です。(リンク先は常に最新版が出るようなので、下図はある時点のコピーとしてご覧下さい)
価格動向を表す下側の指数(緑色)の下落幅に対し、配当込みの上側の指数(水色)はもう少し穏やかです。投資口価格が売られすぎの状況のように見えます。
時価総額の推移はこんな感じ。
かなり長期のグラフになっており、直近では時価総額の減少がみられますが、これをもって「資金が大規模に抜けつつある」状況かどうかは見る人次第、といった印象です。
再生可能エネルギーに引き続き投資できるか?
ファンドによっては出力制御(電力会社からの要請により、電力供給を遮断されること)を多く受けるところがあります。いわゆる供給過多の状況ですが、これは発電エリアや時期が影響すると言われ、東京インフラ、カナディアンソーラーが出力制御多めです。
出力制御を受けると、その分は逸失賃料となって減収、分配金低下、となるので、インフラファンドにはマイナスです。
ただ、今年2024年は経済産業省の資源エネルギー庁の 「出力制御対策パッケージ」が走ることもあり、一方的な低下にはならないでしょう。
太陽光のFIT終了に対しては、エネクスインフラ・ジャパンインフラなどが対策強化を謳っており、風力・水力・バイオマスなどの発電を開発中です。
しかし、あくまでこれらは開発中、育成中…。
太陽光以外に関しては、より「投資」の性格が強そうです。
諸々の課題もあるインフラファンドなので、単に「安定高配当」だけで投資すると、それを崩すような諸々の不安要因に駆られがちです。
ここはひとつ基本にかえって、「自分は再生可能エネルギーのある社会が欲しいか、投資を続けたいか?」を問い直してみましょうか。
それでOKなら投資を続け、結果の分配金を喜んで受け取るのが良いでしょうね。
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