クオカードの親会社、ティーガイアが議決権行使のお礼にQUOカードPayを発行しますね。
株主優待も年2回クオカードなので、結構な費用をかけています。
…と思いますか?
自分も最初はそう思ったのですが、ことティーガイアに関してはそうでもないか、と。
更に、今回配られるのがクオカードではなく、QUOカードPayという点も意味深な気がします。
たぶんですが、QUOカードPayのほうが儲かるんじゃないかな…と。
5年経過で益が出る、クオカードの利益計上について
(※ご注意)
ブログ主はクオカードの中の人ではないので、これ以降の記載は公開情報からの推測となります。個人のブログとしてお読みください。
カード類の発行会社が得られる利益で思いつくのは、販売手数料、決済手数料。
クオカードの決済手数料は有無を含めてわかりませんが、販売手数料は普通に公開されています。
300円券が10%、500円券が6%、1000円券が4%で、それ以上は手数料がかかりません。
自分もそう思っていました。
でも、ティーガイアの事業報告を見てはじめて、もうひとつの収益があることを知りました。
「退蔵益」というものです。
いろいろ読み合わせると、こういうことになります。
- クオカードを発行し、代金と発行料を受け取る。(キャッシュイン)
- 代金は「カード預り金」という負債に入れる。
- クオカードで支払があった分の代金を決済する。
- 5年経過後、未使用残額のうち使われないであろう分を営業外利益(退蔵益)とする。
まあ、ギフト等で配られたクオカードにはありがちかもしれません。
大量にクオカードを発行し、5年経てば、その使いのこりで決済しなかった額も相応なのでしょう。
発行すればするほど、利用者が余せば余すほど利益が出る事業ということらしいです。
そして、これがQUOカードPayになるともう少し違う点が。
QUOカードPayの退蔵益は3年で確定する
QUOカードPayはクオカードと異なり、有効期限は3年間 と決まっています。
これは有効期限のないクオカードに比べて、下記の点で発行側に有利ですね。
- クオカードよりも、2年早く退蔵益が計上できる。
- 3年経過後の退蔵益は暫定益ではなく、確定益になる。
後者について、クオカードは有効期限がないので「過去のクオカードを発掘して使う」ことができます。そうすると、古いカードの決済金が後から益を減らしてくるため、この分を調整しなくてはなりません。
少し古い図からの引用ですが、下の「見直し額」というのがそれかと思います。
対して、3年で有効期限が切れるQUOカードPayならば、「見直し額」が発生しません。
3年たって使われなかった分は、かならず退蔵益に計上できるはずです。
あるいは1回くらい使っても、半端な残額に現金をあわせるくらいならそのまま放置… とか。
QUOカードPayの発行は経費になるかもしれませんが、3年後に退蔵益が見込めることをあわせると、他の会社より経費は浅いんだな、と感じた次第です。
(発行手数料について)
退蔵益とは別件ですが、QUOカードPayは 発行金額の6% という発行手数料が明記されていますね。
行き先や内訳は不明ながら、これも発行額が多いほど威力を出すように思われます。
そんなに都合よく退蔵益が出るの?
さて、退蔵益を味方につけてきたクオカード事業ですが、今後はどうなるでしょう。
自分だったら、戴いたクオカードはみんな残さず使い切ります。
しかも現在はモノの価格が上がり、クオカードの知名度も上がり、給与は下がっています。
どんな小さなお得でも余さず使う雰囲気になっていないでしょうか。
実際、クオカード見直し額が原因で、予測利益は切り下がっています。
2021年3月期の決算説明会質疑 (P2)では、見直し分が大きいことが語られています。
上向きだった退蔵益が、圧縮されてきているのです。
2022年3月期の決算短信 (P10)では、前年度に比べて退蔵益が約11.6億円の減少となっていました。
これらは引き続き圧縮され続けるのか。
それとも、短期回収できるQUOカードPayの増加により新規の退蔵益が出来てくるのか。
これはどうやら絶対に使い切るユーザーと、使い残りを出しうる発行母数のボリュームとがせめぎ合う事項のようなので、今後一層の発行普及、加盟店増加が成るか見守りたいところです。