ノギンの泡沫投資日記

50代後半、年間配当95万…。資産運用を頼りにしつつ、有期契約で働きながら頑張るブログ。

「株主パスポートアプリ」で抽選乱立の議決権行使

カバー

「議決権行使」のIT化が進んでいます。
今年の議決権行使は、昨年とちょっと違うリーフレットが混じっていますね。「株主パスポート」なるアプリをスマホに入れて、そこからネット行使すると抽選プレゼントがあるとか何とか。

しかし、ここで「へぇ、新しいサービスかな」と期待し過すぎるなかれ。スマート行使の一番の受益者は株主ではなく信託銀行なので、株主向けのアプリなど栄枯盛衰必須の過渡期かもしれませんね。

実際、アプリを入れて議決権行使してみましが。
さっっっぱり役に立ちませんよコレ…。




議決権ネット行使の主催者は複数存在する

議決権行使について少しおさらいしてみます。

上場会社は、株主名簿の管理や株主総会事務を「株主名簿管理人」へ委託します。株主名簿管理人は1社ではなく、信託銀行だったり、証券代行会社だったり、株式事務代行機関だったり様々なので、各社はそこからどれか1つを選んで株主名簿管理人とするわけです。

そして2018年頃から、議決権行使書の回収、集計にQRコードを絡めるシステムが登場しました。「スマート行使」として始まったスマホ行使は信託銀行が主催し、これまた複数存在します。
複数の銘柄を保有している方は、QRコードのポータルが何種類かある(サイトの見た目が違う・ロゴマークが違う)のに気づいたのではないでしょうか。

主催 ネット行使 アプリ行使
三井住友信託銀行 ここ から 株主パスポート
みずほ信託銀行 ここ から
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三菱UFJ信託銀行 ここ から
-

最後の三菱UFJ信託銀行は、2024年あたりからの新顔ですね。

でもって、やはり新顔アプリの「株主パスポート」は三井住友信託銀行の主催。
この信託銀行を株主名簿管理人に選び、なおかつ「株主パスポート」に参加・連携した企業だけが、アプリに対応しているのです。

まあそんなわけなので、株主にとっての網羅性など無いようなもの。
アプリのインストールと議決権行使には抽選ポイントがありますが、これで何かが便利になるとか、ワンストップで総会管理が出来るという期待は持たないほうが良いでしょう。

議決権ネット行使は、信託銀行のためにあるシステムだ

議決権行使は郵便で始まり、その処理は膨大な郵送、開封、読み取り、集計、廃棄といった一大事務の固まりでした。

時間もかかる。人手もかかる。OCRを通せば読み取りミスや無効票が出る。
何より、人が扱うデータには運用エラーがつきものです。
議決権集計のように納期絶対・正確絶対な事務に対し、郵便集計は攪乱要素が多すぎますね。これが毎年毎年となると、根本からIT化したくなる気持ちはよくわかります。

もし、完全なネット化が完了し、スマホで入力チェック済みの議決数をリアルタイムで集計できたなら。

その暁には、信託銀行は企業からシステム料を戴きつつ、あとは寝ていれば良いんですね。

人間いらねぇ…。

そりゃあ、キャンペーンを打っても、プレゼントをつけてでも、スマホ行使を浸透させたいことでしょう。

多分、さきの3行はシステムの覇権を争う関係じゃないかな。
1社でも多く、株主名義人のシェアを取って、システム料や委託料で優位に立ちたいはずです。そう考えると、各社のサービスはこれから一層、差別化や囲い込みの競争が進み、毎回刷新されてゆく可能性が高いですね。それはきっと、「株主へのアピール」に名を借りた企業獲得競争なのです。

信託銀行のセールス先は企業であって、株主ではない。
だけど、議決権行使をするのは株主なんだよなぁ。

FIRE界隈では労働者に勝っているかのように言われる株主も、議決権行使界隈では見事にシステム営業の人質というか、データの具材扱いなんですね~。世の中よくできてます💦

優待投資家のような多銘柄保有者の立場はせいぜい、「アプリいらねぇ」と言いながら行使するくらいが関の山…。せめて、新発アプリのシステム料が高くないことを祈るばかりです。

「株主パスポート」アプリの抽選企画、参加方法は2種類

では、ボヤきも済んだところで、「株主パスポート」アプリに戻ってみます。
何やら正体不明のポイントが、抽選で戴けるらしいですよ。

「株主パスポート」を主催する三井住友信託銀行は、昨年までは「スマート行使」のQUOカードプレゼント企画を実行していましたが、今年はそれをやめてアプリを推すことにしたようです。
抽選のチャンスは、下記の2通り。

抽選条件 抽選内容 賞品
アプリ登録・銘柄登録した人が
10万人になったら
株主1名につき1口で
総計 3,000名に
3,000
~10,000ポイント
アプリ登録して議決権行使したら 100名につき1名で 1,000ポイント

抽選で戴けるのは「株主ポイント」という独自のもので、アプリ内で物品と交換できるとあります。どんな物品かは…まだポイントを持っていないのでわかりませんw

株主ポイントとは、三井住友信託銀行が発行するポイントで、「株主パスポート」アプリでご利用が可能です。
アンケート、イベント、企画などに参加することでポイントが貯まります。
貯めたポイントは本アプリ内で物品等と交換が可能です。

2通りの抽選条件について、詳しい違いは下記にFAQがありました。

ここまで読んで戴いた方にはおわかりの通り、この企画に関係するのは三井住友信託銀行を株主名義人とする企業だけ。

そこから更に、「議決権ネット行使の参加企業」と「株主パスポートアプリの参加企業」は顔ぶれが異なります。QRコードからの行使はできても「株主パスポート」には銘柄登録できない、という例が多々ありました。

銘柄登録での抽選は、1銘柄でも登録すればエントリー完了です。もとより銘柄は揃わないので、このアプリに何社も登録するメリットは薄いでしょう。
というか、登録すればするほど不便になりますw

  • 登録銘柄を検索する機能がない
  • 一番下(または一番右)までスクロールしないと「銘柄を追加」できない

5銘柄ほど登録したあたりから「なんだこれ?」となって、次の登録が苦行になるので注意です。

それでも、プレゼント企画には乗っておきますぞ。
だって、還元の原資は企業様が拠出する貴重な委託料なのですから。あわよくばインカムの一助として、参加しない選択肢もありません。

で、これとは別にみずほ銀行も「スマート行使で100名につき1名で、QUOカード500円」の抽選を継続しているので、当面の議決権行使は抽選乱立の世界なんですね。うーむ…。




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