今やすっかり有名で、資産運用や金融教育の代名詞ともなっている 老後 2,000万円問題。
老後が近い多くの人は、(一部の投資クラスターを除けば)「現役時代に2,000万円を貯めて、老後に少しずつ取り崩す」という感覚でいるかと思います。
では、それ用のお金を貯めておけば安心できるのか。
いや、貯めて取り崩すよりも良い方法はあるよね。
という、投資ブログとしては一瞬で先が読めそうなベタなことを書いてみます。
今更ながら 2,000万円について振り返ってみる
老後 2,000万円問題とは、いつから生まれたどんな話だったのでしょうか。
これは、 2019年に金融庁のワーキンググループが報告した内容が元になっています。
- (参考)報告書「高齢社会における資産形成・管理」
この16ページあたりに、「老後の生活においては年金などの収入で足らざる部分は、当然保有する金融資産から取り崩していくこととなる。」と始まる部分があり、そこから先の記載にあるのが、
- 夫65歳以上、妻60歳以上で夫婦のみで暮らす無職家庭は
- 平均値として、毎月約5万円の赤字が発生するので
- これを老後30年間、夫95歳まで毎月補填するとしたら
単純計算で1,800万円、つまり約 2,000万円の取り崩しが必要、という試算でした。
まあ、本っっ当に単純な計算で、上の例もサンプルとしか言いようがありません。
実際のところは生活費も、年金額も、赤字額も、そして予想寿命も医療費も、世帯によってまるで異なるのだから、自分ごととしてしっかり考えてね…というだけの内容となっています。
モデル世帯がモデルでないことも、最初からしっかりわかってる。
これを、当時の金融担当相が「表現が不適切だ」として報告書の受取を拒否したことから何か騒ぎが起きて、いつの間にか「老後資金といえば 2,000万円」みたいな話になりました。
取り崩すか? 配当を取るか?
面倒なので、「現役時代に 2,000万円」という部分はそのまま受け止めてみます。
それまで投資を行っておらず、65歳まで大事に貯めた 2,000万円だとしましょう。
これを毎月5万円ずつ取り崩すと、30年と少しで使い切るという計算です。
しかし、それでよいのでしょうか?
75歳、後期高齢者の年齢になれば、住居の突発費用や突然の医療費が大事な贅沢品です。
そのとき、65歳から取り崩していた資産は順調に目減りしているでしょう。生活費に取り崩すための残高は「もしものお金」にならないのですね。
年金生活以降の虎の子は、「配当の出る金融商品」に着目することでバージョンアップします。新NISAを活用してうまく選べば、ETFでも年間3%以上の配当益が狙えるでしょう。
- (参考)日本取引所銘柄一覧(ETF・テーマ別)
(右端付近の「パンフレット」で利回りが確認できます)
そうすると、新NISA込みの 2,000万円からざっと 3%で得られる配当は年間 60万円。
元本をリスクに晒すかわりに、金融庁の例にある月5万円がクリアできる計算です。
- 元本を確実に減らしながら、年を重ねるか。
- 元本暴落のリスクを受け入れ、配当を貰い続けるか。
一見、難しい選択のようにも思えますが、これまで投資に取り組んでみた感想としては「後者もそれほど悪くない」です。
戴くのは元手から切り離された配当だけなので、暴落があっても精神面にワンクッション置けますし、暴落がなければ元本維持の美味しい話になります(^^)
そして年を重ね、「まさかのお金」が必要になったときにこそ、ためらいなく元本を使う。
そんな運用もあっていいんじゃないかな? と思うこの頃です。
運用は早ければ早いほど良い
今回は、一生懸命貯めたお金を、老後の入口で運用に転化するケースを考えてみました。
しかし、年金開始年齢よりも前に運用を始めるなら、それに越したことはありません。
現役時代の時間を味方につけて、長期で元本成長を待つのも良し。
給与とは別のお財布からやってくる配当を、有難く育てるのも良し。
さきの金融庁ワーキンググループの引用にある通り、お金について考え出すのは「早ければ早いほど望ましい」なのですね。
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