外貨建債券とは、外貨で購入し、利金も外貨で支払われる商品です。
利金の受取方法で外貨決済を選んでいたら、利金支払の結果も外貨のままとなり、外貨の余力が貯まってゆく仕組みですね。
そして債券は株式と異なり、利金が予め決まっているもの。
外貨決済で債券を保有していれば、毎年決まった額の外貨が規則正しく口座に入る
…と思っていたら、実はそうでもないことに気づきました。
外貨ベースの受取額が変動していた
下記は、5月・11月に支払いのあるドル建て社債の入金履歴画面です。
なんで、5月と11月で微妙に違うんだろう?
外貨ベースの受取だから、同じ金額になると思ったのに…。
疑問に思って他の社債も見ると、受取額はやはり少しずつ違うのでした。
うるう年だから、というわけでもなさそうです。
利金は一定でも、課税額はレートの影響を受ける
履歴を遡って支払通知書を確認すると、異なっている部分がわかりました。
元々の債券利金は確かに一定額だけど、そこから引かれる「国内源泉徴収額」が変動していたので、結果の受取額も異なったのですね。
さて、この国内源泉徴収額。
ドルで表記されてはいますが、いったん為替変換してから 国内課税率 20.315%を計算したものなので、計算結果は円ドルレートの影響を受けたのでした。
これについては証券会社のヘルプページにも記載があります。
外貨で支払われた利金についても、税金は日本円ベースで計算します。
ただし、支払われる外貨から日本円での徴収はできませんので、支払時の為替レートにて税金相当分の外貨を徴収させていただきます。
はあ、なるほど。
源泉徴収のために、税引前の日本円相当額から税金分を計算後、それをまた外貨に戻して表記しているのね…。めんどくさっ。
さきの明細を更に読み進むと、計算内訳内容も確認できます。
この内訳とあわせた、2024年5月分国内源泉徴収額(4.70 USD)はこんな計算でした。
①:税引前の利金額 |
23.45 USD |
---|---|
②:①を円に換算 |
① × 申告レート 154.91円 = 3.632 円 |
③:②の国内税額を計算 |
② × 20.315% = 737 円 |
④:③をドルに換算 |
③ ÷ 為替レート 156.49円 = 4.70 USD |
②の申告レートは、5月20日の税金計算用に定められたレート。
④の為替レートは、5月21日の時価。
実際の計算結果は小数点が出ますが、すべて切り捨て処理となります。
入金がある限り、外貨だけでは完結しない
入金が同一額でも、税率が同一でも、それが外貨である限り、税金徴収に伴う為替レートの変動からは逃げられませんね。
考えてみれば当然ですが、金利固定の債券ということでウッカリしていたので、この機会に勉強してみました。
NISAで債券が買えないのは、必ず償還される(そして償還時に為替差損が出るかも知れない)という使いづらさもあるし、利払いと源泉徴収が切り離せないなど仕組み的な理由もあるでしょうか。
何より、NISAの考え方と外貨償還とは相容れない印象です。
運用とひとくちに言っても、中身は本当に様々ですね。