ノギンの泡沫投資日記

50代後半、年間配当95万…。資産運用を頼りにしつつ、有期契約で働きながら頑張るブログ。

もうすぐ、KDDIが自己株TOB。自社株買いと何が違うの?

カバー

KDDIが 5月14日に「自己株式の公開買付」という開示を出して、しばらくたちました。
買付期間は2025年6月11日まで、もうすぐ締め切りですね。

株式世界のお金用語ときたら、何度聞いても慣れるということがありません。「公開買付」「TOB」といえば企業買収のことだとばかり思っていたのに、これから起きるのは自己株のTOB

わからん! それって何が起きるのさ?

と、またしても無知が爆発してしまい、後追いで勉強であります。




自社株買いより迅速に、透明に、明確に行われる買付

まずは一般論から。

通常の自社株買いも、自己株のTOBも、要するに流通株式数が減るという結果は同じです。
実務では、ざっくりと「市場でやるかやらないか」の違いなのですね。

自己株TOB 自社株買い
買付場所 TOB専用窓口 市場
買付価格 事前に開示され、
誰でもわかる
市場時価
買付日 期間終了後に一括で 期間中に少しずつ

あらかじめ宣言した価格で応募を募り、市場を通さず一気に完了するのがTOB
誰が応募しても同じ価格なので、時価をみながらジワジワ進む自社株買いと比べると透明感があり、双方費用がわかりやすいという印象です。

しかし、確実度という点では自社株買いに軍配でしょうか。
TOBは応募を受けるという性質上、応募が少なければ予定の買付数に至らない可能性があります。このため、積極的に応募してもらうには買付額を高くする(プレミアムをつける)のが一般的と言われます。

あれ?
でも、今回のKDDIの買付価格は…。
5月14日の開示にある買付価格は、2,307円

対して、直近のKDDIの株価は 2,500~2,540円前後だったので、随分と値下げしてしまったものです。トップ企業のKDDIがそんなディスカウントTOBを行って、株主還元になるのでしょうか。

結論としては、「心配ない」と思われます。
どうやら、今回は普通の株主還元とは異なる背景がありそうですね。

今回、TOBが選択された特別な事情

2025年5月25日に開示されたTOBの規模は、上限が1億9,600万株でした。
KDDIはこれまで何度も自社株買いをしていますが、その量はだいたい5,000万株前後だったので、今回のボリュームは突出しています。

これは何故かは開示できちんと説明されていて、

  • 第1位株主である京セラが、売却する意向を出した
  • 第3位株主であるトヨタ自動車が、売却する意向を出した

という話が最初にあって、これを透明に扱うため(そして、ついでに株主還元の枠組みにも乗せるため)TOBの形式が選択された、ということのようです。

なにせ、京セラが売ろうとしている株数は 1億836万5,800株
今回の公開買付上限数の約55%にあたります。

これらを市場で売られたら勿論、株価は下がってしまうでしょう…。

トヨタ自動車の売却予定数は開示がなく不明でしたが、もし京セラの半分程度であったとしても前回の自社株買いを超える規模、そしてこの2社の合計が買付価格の大半であることは確実に思えます。

KDDIとしては、「市場で売られるよりは俺が買う💦」となるだろうし、大株主の両者は元より含み益だろうし、どうせなら自社株買いの株主還元属性も付与してしまえと。

当社は、これまでの自己株式の取得は市場買付けによる手法を中心に実施してきたことを踏まえると、応募予定株主から自己株式を取得する場合でも、前年度の自己株式取得と同様に、一定数量は市場から買付けることが望ましいと考えました。

そんなわけで今回のディスカウント価格、そして短い応募期間は、3社が折り合った結果の実質的な相対取引ではないでしょうか。

売却ショックを回避してくださった3社様、グッジョブです。




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