「脱サラ」は死語らしいですが、どーも適切な表現がみつからなかったので今回はこれでゆきます。つまるところ、「早期退職」と「開業」を組み合わせた転職のようなものでしょうか。
自分のような、人生後半からのフリーランス1年生は色々なお金問題に遭遇しました。今回も、新たに出会った「開業後5年間は頑張らなくちゃ問題」ついて勉強してみます。少々長いですがおつきあいください。
- 早期退職で減るお金を踏まえる
- 退職金は、もう一度作ることができる
- iDeCoとあわせた最大控除額は「年間165.6万円」
- 折角作った退職金を「受取時課税の罠」から守る!
- iDeCoは年金で受け取ろうかな…。
早期退職で減るお金を踏まえる
「早期退職」というとき、その結果は給与所得者の身分終了を意味しますね。
このとき十分な経済的自立があればFIRE、あるいはセミリタイアと呼ばれるため、今時の早期退職宣言は明るいイメージが伴います。
リタイアせずに開業する場合は「脱サラ」などと言われ、キラキラとドン底と普通が入り乱れた結果が生じるらしいですが… 自律的な人生になることだけは間違いないため、ある意味明るいとも言えます。
そんな明るさの一方で、「早期退職」は将来の収入を減らすイベントでもあります。
- 定年退職に比べて、退職一時金が少ない。
- 厚生年金の納付期間が短いため、定年退職者より公的年金が少ない。
たとえお金持ちでも、嬉しいか嬉しくないかで分けると…、
これは勿論、嬉しくないでしょう。
今回のブログでは、そんな「退職金」「年金」の減額に対し、個人事業主として抗う場合の留意点を書いてみます。
退職金は、もう一度作ることができる
給与所得者にとって、満期退職金はこれからの老後に備える大事な一時金です。
ですが、早期退職者、とくに自己都合退職者の場合は、このお金は寂しくなりがちですね。あーあ、これからも働くのに、この先辞めても退職金をくれる人なんて…
って思いますか?
大丈夫です♪
そんな心細い個人事業主のための「自分退職金」があります。
強力な税額控除特性を備えた「小規模企業共済」です。
これは上の通り「積立による退職金制度」でありながら、積立中の全額控除を効かせることにより、単なる預金よりもずっと効果的に、長期的に収支を助けてくれます。
たとえ毎月1万円(年間12万円)のヘソクリでも、これを手元に置かず共済へ逃がすだけで、その分の累進税率(10%の場合は 1.2万円)を逃れられるとしたら…、貯金している場合じゃないですね。
預けた先では債券主体の運用を行っており、廃業すれば結果を受け取ることができます。(廃業の注意点は後半に書きます)
iDeCoとあわせた最大控除額は「年間165.6万円」
そしてなんと、小規模企業共済は iDeCoと併用できます。凄い節税です。
個人事業主の iDeCo上限は、月々 6.8万円。
そして小規模企業共済の上限は、月々 7万円。
この両方を1年間支払った場合、年間の控除額は 165.6万円になります。人によっては所得税率のテーブルを1段階落とせるほどの節税効果ですね。
但し、この額が控除されるということは、要するに月間 13.8万円を積み立てているということ。いやいや、毎月そんなに払ったら生活費が残らないじゃん!
と、直感的に焦る場合も、しばしお待ちをであります。
早期退職の当年や翌年は、少ないとはいえ退職金などの一時金が入ったりしないでしょうか?
掛金額は毎年変更できるので、こうした一時的なお金には積極的に働いてもらいましょう。自分も、今年だけは小規模企業共済とiDeCoを最大額に設定し、最大額の節税を目指すことにしました。
- 早期退職金そのものは、退職所得控除を申告して節税する。
- 戴いた結果のお金は、共済やiDeCoに預けて更に節税する。
どのみち、退職一時金は今日明日に使っていいお金ではありません。
増やす運用も大事ですが、取られるお金を減らすのも大事なマネーハックなのです。
折角作った退職金を「受取時課税の罠」から守る!
さて、貯めたあとは受け取りです。いざ廃業の時が来たら、全額控除で積み立ててきた掛金と運用結果を引き出して、今度こそリタイアですね。
廃業時に請求できる共済金は、退職所得控除の対象になります。
なので、前職で企業の退職金を戴き、その後個人事業主として働いた後は、晴れて二度目の自分退職金を…
…って、あれ?
そうなんです。
前職で退職金を貰い、退職所得控除を受けた人は、その後5年間は退職所得控除が使えないのです。
働きたくないからと言って5年以内に廃業すると、受取金には退職所得ではなく「一時所得」の計算式が適用されることになり、総合課税が増える結果になるかもしれません。
せっかく控除で積み立てたのに、受取時に課税が増えるのは嫌ですねぇ…。
定年間近の崖っぷち状態で開業した自分の場合、辛くても60歳以上、勤続5年になるまでは働いたほうが良さそうです。で、できるかな?
加えて、退職所得控除は勤続年数が短いと優遇度が渋い仕組みです。勤続20年以下の控除額は「40万円 x勤続年数」です。
いくら控除が凄いからといって毎年84万円を積み立てていると、控除枠を超えてしまって受取時の課税が発生しますね。あーめんどくさい。
非課税にこだわるなら、こんな感じになるのかな。
- この先5年間は頑張って仕事を戴く
- 5年間の合計積立額を 40万円 x 5 = 200万円未満にする
この2点を運良く達成すれば、小規模企業共済については、入口から出口までの完全非課税が実現しそうです。そして、5年間継続後の自分退職金は200万円が非課税上限になることもわかりました。
受取金には運用益が乗るかも知れないので、実際の積立額は 200万円より一定程度少なく、という目安が良いかもしれません。まあ、来年以降はどうせ 84万円も払っていられないのでOKでしょう。
iDeCoは年金で受け取ろうかな…。
これまで小規模企業共済の受取について書きましたが、iDeCoについては書いていませんでした。
だって、iDeCoは税制が後出しでグラグラしているし、どのみち結局課税されるんでしょ? という諦めのような気持ちがあって、廃業時まで考えるのをやめておこうかと半分投げています。
案外、普通に年金型にして雑所得に混ぜてしまい、別のルートで所得税控除するのも良いんじゃないかな。

