日医工(4541)は自分も消費者としてよくお世話になったジェネリック医薬品の大手です。
最近は不適正製造の発覚で有名となり、保有はないけど頑張って復活してねー
…などと思っていたら、そんなわけにはゆきませんでした。
上場廃止でスクイーズアウトってどういうこと?
なんか変な横文字が出てきました。
スクイーズアウト は、「締め出し手法」を意味する用語だそうです。
言葉だけ聞くとレモン絞り器のイメージですが、そんなふうに閉め出すのかもしれません。
今回の日医工のケースでは、第三者割当増資を行う会社が現れたので、その会社の持株を100%にするために、既存株主の持株を強制的に買い取る(既存株主を閉め出す)措置を発動するとのこと。
具体的な手法としては、割当増資を行った上で「株式併合」が実施されます。
(正確には、実施のための臨時株主総会を開き、関連の議案を付議してゆく)
締め出しを目的としているので、通常ではあり得ない併合割合が開示されました。
70,384,700 対 1 !
つまり、「既存株主は全員端株にするよ」ということです。
「端株は議決権がないから買い取るね、価格は36円に決めました」という強制執行なのです。
この開示前の株価は380円だったので、10分の1以下の買取価格になります。
もっと前から保有して含み損だった株主にしてみれば、もう悪夢でしょう…。
いや、上場廃止なら株価は1円になってしまうので、36円になるだけマシなのか?
もはやわかりません。
わかるのは、この先はストップ安しかないということだけです。
不適正製造について、今更ながら振り返ってみる
「保険医療科学」のアーカイブ によれば、日医工が不適正製造と指摘された内容は…、
- 出荷試験で不適合となった製品を別のロットで再試験。
- 不適合となった製品を再粉砕・再加工した後で試験。
- 一部試験の優先度を落とした結果、未実施。
- …などを、10年以上継続。
ジェネリック医薬品の信頼を落とした代償は大きかったといえますが、実はもっと前から詰んでいた説もあると知りました。
つまり、薄利多売構造の中で薬価が下がり、採算が厳しく、食い詰めた状態の企業が次々と不適正製造に走っていたという問題が、いま火を噴いているらしいのですね。
そして、ある企業で問題が起きれば、代替の企業に需要がのしかかります。
少量多品種かつ薄利の体制下で、生産力が、そして品質管理力が足りない…。
実際、自分の常用薬も最寄りの薬局に在庫がなく、やむなく先発品を購入したことがありました。